

認知症等により本人の判断能力が低下すると、自分の財産を管理したり様々な契約を締結する際に支障が生じ、本人の不利益になることが想定されます。このような判断能力が不十分な方たちを保護し、支援するのが成年後見制度で、大きく分けると「法定後見制度」と「任意後見制度」があります。
法定後見制度では、本人の判断能力が不十分になった後に、本人、配偶者、四親等内親族、市町村長などの申し立てにより、家庭裁判所が成年後見人等を選任し後見が始まります。このとき配偶者や親族が後見人となることを希望していてもその通りになるとは限りません。法定後見では、本人の資産が高額で多岐にわたる場合、家族等ではなく第三者が後見人に選ばれる可能性が高くなります。例えば夫が所有するアパート、賃貸マンション等の収益物件による収入で一家が暮らしていた場合、夫が認知症になり家庭裁判所により弁護士が成年後見人に選任されたとします。これまでは夫の資産から、家族旅行や食事会、孫の教育資金の贈与など捻出していたとしても、資金が必要になる都度、成年後見人との相談が必要となります。場合によっては支出が認められない事もあります。法定後見では本人の財産を守ることが中心となります。また選任された後見人に対する報酬が発生し、報酬額は本人の財産額などに応じて家庭裁判所が決定します。本人が生存してる間発生し、後見が長期にわたるとそれなりに多額となります。
任意後見制度は、本人の判断能力が十分あるときに、あらかじめ任意後見人となる方や、将来その方に委任する事務(本人の生活、療養看護及び財産管理に関する事務)の内容を定めておき、本人の判断能力が不十分となった後、任意後見人がこれらの事務を本人に代わって行う制度です。
① 本人と任意後見人となる方との間で、本人の生活、療養看護及び財産管理に関する事務について任意後見人に代理権を与える内容の契約(任意後見契約)を締結します。この契約は公証人が作成する公正証書により締結しなければなりません。
② 本人の判断能力が不十分になった後に、家庭裁判所に対し任意後見監督人選任の申立てを行い、選任後後見がスタートします。申立てができるのは、本人、配偶者、四親等内親族及び任意後見人となる方です。申立てから後見開始までの期間は多くの場合4か月以内となっています。4か月ほどかかる事もあると言う事なので注意が必要です。

公正証書作成に係る実費は以下の通りです。
・公正証書の作成基本手数料:11,000円
・登記嘱託手数料 : 1,400円
・印紙代 : 2,600円
・その他 : 正本・謄本の作成費用、切手代等
任意後見制度では、後見人を自分が信頼する子供や配偶者などにすることができ、報酬も自由に設定でき無報酬とすることもできます。ただし家庭裁判所が選任する任意後見監督人への報酬は発生します。当事務所では契約内容の確認やアドバイス、書類作成のサポートを行っています。