建設業を営もうとする者は、下表に掲げる工事を請け負う場合を除き、全て許可の対象となり、建設業の種類(29業種)ごとに、国土交通大臣又は都道府県知事の許可を受ける必要があります。(建業法第3条)(建業法以外の法令で資格や登録が必要な場合もあります)
許可を受けなくてもできる工事は以下のような工事となります。
・建設業を営んできたがこれまでより大きな仕事が取れそうだ。
・今後事業規模を拡大していきたい。
・新たに建設業を立ち上げるにあたり大きな規模の事業も想定している。
・これまでの業種とは違う業種で拡大していきたい。
などの場合、建設業許可申請を行う必要が生じます。
建設業の業種は29種類に分類されており、許可を受けた業務のみ工事を請け負うことができます。
許可の種類には国土交通大臣許可と知事許可があり、複数の都道府県に営業所がある場合は国土交通大臣許可が必要となります。
知事許可は、その都道府県にのみ営業所がある場合となります。その都道府県でしか工事ができないという事ではありません。
営業所とは請負契約の締結に関する実体的な行為(見積、入札、契約等)を行う事務所をいいます。単なる登記上の本店や、建設業と無関係な支店、事務作業のみを行う事務所、工事作業員の詰め所、作業場等は営業所にあたりません。ただし他の営業所に対し、請負契約に関する指導監督を行うなど、建設業に係る営業に実質的に関与する事務所であれば営業所に該当します。
・請負契約の見積もり、入札、契約締結等の実体的な業務を行っている。
・電話(業務用携帯電話可)、机、各種事務台帳を備え、契約締結ができるスペースを有し、かつ他法人又は個人事業主の事務室等とは間仕切り等で明確に区分されている。
・専任技術者が常勤している。 など、必要な要件があります。
建設業の許可は、一般建設業と特定建設業とに区分されています。同一の業種について、一般と特定の両方の許可は受けられません。
①元請として契約を締結して、
➁工事の施工金額が4,500万円以上(建築一式は7,000万円以上)の工事を行う。
下請けとして4,500万円以上の工事を行う場合は特定建設業の許可は必要ありません。また一般建設業に比し、許可要件である、「財産的基礎等」「専任技術者」につき厳格な要件になっています。
許可の有効期間は、許可のあった日から5年目の許可日に対応する日の前日をもって満了となります。引き続き建設業を行う場合には、期間が満了する日の30日前までに、更新の手続きを取らなければなりません。これを怠ると期間の満了とともに建設業許可の効力を失いますので注意が必要です。東京、埼玉など、期間満了の二か月前から更新の受付をしています。
建設業許可を受けるためには以下の6つの要件を備えていることが必要です
許可を受けようとする者は、経営業務の管理責任者を置くこと又は建設業に関する経営体制(常勤役員等及びこれを直接に補佐する者)を備えることが求められ、その基準は以下の通りです。
・東京都建設業許可手引きより抜粋
法第七条第一号の国土交通省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 次のいずれかに該当するものであること。
イ) 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。
(1)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
(2)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者
(3)建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者
ロ) 常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であって、かつ、財務管理の業務経験(許可を受けている建設業者にあっては当該建設業者、許可を受けようとする建設業を営む者にあっては当該建設業を営む者における5年以上の建設業の業務経験に限る。以下このロにおいて同じ。)を有する者、労務管理の業務経験を有する者及び業務運営の業務経験を有する者を当該常勤役員等を直接に補佐する者としてそれぞれ置くものであること。
(1)建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者
(2)5年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有する者ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げるものと同等以上の経営体制を有すると認定したもの。
建設工事に関する請負契約の適正な締結・履行を確保するためには、建設工事についての専門知識が必要になります。このため、営業所ごとに、許可を受けようとする建設業に関する一定の資格又は経験を有する専任技術者の配置が必要になります。「経営管理者」同様、「専任技術者」と認められるにはいくつかのパターンがあります。また、「専任」ですので、同一法人であっても他の営業所の専任技術者を兼ねることはできません。
建設業を営むには、資材の購入、労働者の確保、機材の購入、工事着工の準備資金等を必要とするため、財産的基礎(金銭的信用)を有していることを要件としています。
■ 一般建設業の財産的基礎
次のいずれかに該当すること。
① 自己資本が500万円以上あること。
② 500万円以上の資金調達能力があること。
③ 直前5年間東京都知事許可を受けて継続して営業した実績があること。
「資金調達能力」については申請者名義(法人である場合は当該法人名義)の口座における取引金融機関発行の500万円以上の預金残高証明書又は融資証明書により判断されます。
■ 特定建設業の財産的基礎
次の全ての要件に該当すること。
① 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと。
② 流動比率が75%以上であること。
③ 資本金が2,000万円以上あること。
④ 自己資本が4,000万円以上あること。
法人である場合においては当該法人又はその役員等若しくは政令で定める使用人が、個人である場合においてはその者又は政令で定める使用人が、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないことが必要です。
「不正な行為」――― 請負契約の締結又は履行の際の詐欺、脅迫等、法律に違反する行為
「不誠実な行為」―― 工事内容、工期等、請負契約に違反する行為
建築士法、宅地建物取引業法等の規定により不正又は不誠実な行為を行ったことをもって免許等の取消処分を受け、その最終処分から5年を経過しない者は、不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者として扱われます。
欠格要件に該当するものは許可を受けられません。建設業の許可を受けるためには、許可要件を満たすこと及び欠格要件に該当しないことが必要です。
令和2年10 月1日から適切な社会保険の加入が建設業許可の要件となっています。適用が除外される場合を除いて、社会保険の加入が確認出来ない場合は許可及び承継認可されません。
「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力」及び「専任技術者」に関する要件は、大丈夫と思ったら実は要件を満たしていなかった、という事がありますので注意が必要です。
許可申請の区分は下表の通りです。
許可に関する要件は六つですが、それに伴い提出する書類は何十枚にもなります。申請後は要件を満たしていなかったり、提出書類に不備があったりし、許可を受けれなくても手数料の返還はありません。そのような事にならないためにも、専門家である行政書士の活用をお勧めいたします。
※上記金額は申請実費であり当事務所の報酬は含んでおりません