遺言作成・相続関連業務サポート

人は誰でも亡くなります。亡くなられた後、その人に相続される財産があれば、相続人がその財産を相続します。ところが近年、「相続」が「争族」となってしまうケースが増加しています。相続問題と言うと大きな資産家の問題と思われがちですが、その多くがごく普通の家庭で発生しています。そのような事が起きないよう、遺されたご家族、ご親族のためにも、遺言を作成しておくことは大切なことです。当事務所では遺言作成のサポートを行うとともに、相続人調査、財産調査、遺産分割協議書作成等、相続発生後の業務をお引き受けいたします。

1、遺言作成サポート

もし相続が発生し、亡くなられた方が遺言書を残していなかった場合、相続人全員で遺産分割協議を行い、相続財産の分け方を決め、遺産分割協議書を作成する必要があります。仲の良い兄弟親族であっても大変な気を遣う事にならないでしょうか。遺産分割協議をきっかけに疎遠になってしまう・・・という事もあります。遺された方たちにそのような苦労を掛けないためにも遺言書の作成をおすすめ致します。また特に次のような場合は遺言書を残してあげて下さい。

 

・お子様のいないご夫婦の場合
・内縁関係の妻(夫)がいる
・昔離婚した相手との間にずっと会っていない子供がいる
・再婚相手の子供を養子にしていなかった
・相続人ではないが大変お世話になった方に遺産を分けたい
など、遺言書がないと争族になりかねない場合がたくさんあります。

 

一般的に活用されている遺言としては、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」があります。お客様の思いをお伺いし、その思いが遂げられるよう作成のお手伝いさせていただきます。

 

自筆証書遺言の良いところ、気をつけるところ

自筆証書遺言の良いところはお手軽なこと。紙とペンがあればすぐに作れますし費用もかかりません。気が変われば何度でも作り直すことができます。ただし遺言書として有効とされるには注意する点もあります。
遺言の内容・日付・署名をすべて自書すること。財産目録についてはパソコン等の利用が可。預貯金通帳の写し添付も可。
・内容は曖昧な表現は避け、具体的に書くこと。
・日付は年・月・日を正確に書くこと。
・書き間違えた場合は、書き直すのがベター。修正・加筆もできますが、法律に定められた方式があります。
署名、押印をすること。押印は実印でなくても可。スタンプは避ける。
・封筒に入れ封印する。法的要件ではありませんが、改ざん等のリスクを避けるため封印しましょう。

 

自筆証書遺言書保管制度について

自筆証書遺言は手軽に作成できる反面、法的要件を満たさず無効となったり、他人による改ざんのリスクがあったり、また遺言書自体が相続人等に発見されないなどのおそれがあります。それらの問題点を解消するための方策として2020年に自筆証書遺言書書保管制度がスタートしました。保管の際は、職員が自筆証書遺言の方式について外形的な確認を行いますが、遺言内容についての相談には応じていません。この制度で保管された遺言書は家庭裁判所の検認が不要となります。

 

保管申請の流れ

1,自筆証書遺言書を作成する
・注意点は通常の自筆証書遺言と変わりませんが、使用する用紙はA4サイズとなります。
・用紙は片面のみ使用し裏面には何も書かない。
・用紙には決められた余白を作る。(上・5㎜、下・10㎜、左・20㎜、右・5㎜)

 

2,保管申請をする遺言保管場所を決める
・遺言者の住所地、本籍地、所有する不動産の所在地、の何れかを管轄する遺言書保管所。

 

3,申請書の作成
・申請書は法務省HPからダウンロードできます。

 

4,保管の申請予約
・予約は電話でも可能ですが、専用HPであれば24時間・365日利用できます。
・予約は申請を行う本人名で行います。

 

5,保管の申請
・遺言者本人が必要書類を持参し申請する。
①遺言書
 ホチキス止めはせずバラバラのまま。封筒は不要。
➁保管申請書
③添付書類
 本籍と戸籍の筆頭者の記載のある住民票の写し
(マイナンバーや住民票コード記載のない、作成後3か月以内のもの)
④顔写真付きの官公署から発行された身分証明書
 マイナンバーカード、運転免許証、パスポート等
⑤手数料
 3900円。(手数料納付用紙に収入印紙を貼る)

 

6,保管証を受取る
・遺言者の氏名等、遺言保管場所名称、保管番号が記載された保管証を受取ります。
・遺言者及び相続人等が保管申請後の各種手続きを行う際、保管番号があると便利です。
・遺言書を保管していることをご家族に伝えるには保管証が便利です。
・保管証は再発行できないので紛失に気をつけましょう。

 

その他の手続き

保管申請後は以下の請求等を行うことができます。それぞれ手続きの流れや必要書類に違いがあるので事前に確認するようにしましょう。

 

1,遺言者が預けた遺言書を見る(遺言書の閲覧)
モニターによる閲覧であれば全国どこの保管所で可。閲覧請求できるのは遺言者本人のみ。

 

2,預けた遺言書を返してもらう(撤回)
保管した保管所に対し、遺言者本のみが行えます。撤回をしても遺言書の効力とは関係ありません。

 

3、遺言者が変更事項を届け出る(変更の届出)
遺言者は保管申請以降に、氏名、住所等に変更が生じたときはその旨を届け出なければなりません。遺言書の内容は変更できません。

 

4,相続人等が遺言書が預けられているか確認する(証明書の請求)
遺言者が亡くなられている場合、自分を相続人や受遺者、遺言執行者等とする遺言書が保管されているか否かを確認できます。

 

5,相続人等が遺言書の内容の証明書を取得する(証明書の請求)
遺言者が亡くなられている場合、相続人等は、遺言書情報証明書の交付請求を行い、保管されている遺言書の内容の証明書を取得する事ができます。

 

6,相続人等が遺言書を見る(遺言書の閲覧)
遺言者が亡くなられている場合、相続人等は遺言書の閲覧を請求して、保管されている遺言書の内容を確認できます。モニターによる確認であれば、全国の遺言保管所で閲覧できます。

 

 

公正証書遺言の良いところ、気をつけるところ

公正証書遺言は公証役場において、公証人が遺言内容を聞き取り公証人が作成します。そのため書き方の誤りで無効となる可能性や紛失のリスクがなく、相続開始の際、家庭裁判所の検認も必要ありません。
一方、公正証書遺言の作成に証人2名以上の立会いが必要となり、証人には遺言内容が分かってしまいます。証人は公証役場に紹介を依頼できますが有償となります。また公正証書遺言作成の手数料がかかります。手数料は以下の通り定められており、相続人や受遺者の受取る財産額や人数により変わります。 

公正証書遺言にかかる費用

手数料算出の基準
まず、遺言の目的である財産の価額に対応する形で、次のとおり、その手数料が定められています。
(公証人手数料令第9条別表)

目的の価額 手数料
100万円以下 5,000円
100万円を超え200万円以下 7,000円
200万円を超え500万円以下 11,000円
500万円を超え1000万円以下 17,000円
1000万円を超え3000万円以下 23,000円
3000万円を超え5000万円以下 29,000円
5000万円を超え1億円以下 43,000円
1億円を超え3億円以下 43,000円に超過額5000万円までごとに13,000円を加算した額
3億円を超え10億円以下 95,000円に超過額5000万円までごとに11,000円を加算した額
10億円を超える場合 249,000円に超過額5000万円までごとに8,000円を加算した額

 

具体的な手数料算出の留意点

上記の基準を前提に、具体的に手数料を算出するには、次の点に留意が必要です。
相続人ごとにその財産の価額を算出し、これを上記基準表に当てはめて手数料額を求めます
 それらの手数料額を合算して全体の手数料を算出します。
・ 全体の財産が1億円以下のときは、上記によって算出された手数料額に1万1000 円が加算されます。これを「遺言加算」といいます。
・遺言公正証書の作成が嘱託人の病床等で行われたときは、上記 によって算出された手数料額に、50 %加算されることがあります。また遺言者が、病気等により公証役場に出向く事ができず、公証人が、病院、介護施設等に出向いて遺言公正証書を作成する場合には、公証人の日当と現地までの交通費が掛かります。

自筆証書遺言、公正証書遺言、どちらの場合も、遺言者の思いを伝えられるようお手伝いさせていただきます。

 

2、相続関連業務

被相続人が亡くなると、悲しみの中、死亡届の提出や葬儀の手配などやらなければならない事が数多くある他、相続をするためには遺言書の確認のをはじめ、被相続人の出生から死亡までの戸籍を取得するなど様々な手続きがあります。借金などがあり「相続放棄」をする場合には3か月以内に家庭裁判所に申述しなければならないなど、大変な労力がかかります。労力を軽減し相続をスムーズに進めるためにも専門家である行政書士の活用をお奨めいたします。

相続の流れ

相続に関するおおよその流れは下図の通りです。

死亡届の提出

亡くなったことを知った日から7日以内に提出します。葬儀社が代行してくれることも多いようです。死亡診断書と同一用紙になっています。死亡届を提出すると返却されません。のちのち必要となる場面がありますので提出前にコピーを取るようにしましょう。年金を受給していた方で、日本年金機構にマイナンバーが収録されていない方については、年金受給停止の手続きが必要となります。国民年金の場合は14日以内、厚生年金の場合は10日以内となっています。

遺言書の確認

亡くなった方が遺言書を残していたか確認します。もし自宅で見つけてもすぐに開封してはいけません。家庭裁判所での検認が必要となります。公正証書遺言の場合は、公証役場の遺言検索システムで遺言の有無が確認できます。令和2年から始まった自筆証書遺言の法務局保管制度の場合も、法務局で確認することができます。

相続人・相続財産調査

相続人を確定するため、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍を取得します。被相続人が本籍地を何度もかえていた場合などはすべての取得に時間を要します。残されたご家族としては相続人なんて分かり切ってると思われるかもしれませんが、役所や銀行等、この戸籍が揃っていないと手続きが進みません。相続財産は、不動産については固定資産の納税通知書等で確認します。金融機関については通帳や郵便物をもとに金融機関を特定し残高証明書を発行してもらいます。また借金など負の財産も必ず調べましょう。

相続関係説明図または法定相続情報一覧図

どちらも被相続人と相続人の関係がわかるよう一覧にした家系図のようなものですが、法定相続情報一覧図は法務局で認証を受けた書類です。様々な相続手続きで戸籍謄本の原本が必要となりますが、これらの書類があれば原本を戻してもらえるので戸籍を何部も取り寄せる必要がなくなります。法定相続情報一覧図は書類に不備がなければ1~2週間で交付されますので時間に余裕があれば法定相続情報一覧図がお奨めです。

相続の選択

限定承認または相続放棄の場合は3か月以内に家庭裁判所に申述します。限定承認は遺産に含まれるプラスの範囲で負の遺産も引き継ぐと言うものですが、相続人全員で行う必要があります。相続開始後、被相続人の遺産を少しでも自分の為に使ってしまうと相続放棄はできなくなります。

遺産分割協議、遺産分割協議書作成

相続人全員で相続財産の分け方を話し合います。相続人全員の同意があれば法定相続の分け方でなくてもOKです。分け方が決まったらそれを書面にします。記載する財産については具体的に記載します。不動産の場合は登記簿謄本に記載されている通り書きます。氏名は印字でもOKですが署名がお奨めです。押印は実印を使いましょう。

相続登記、相続税申告

令和6年4月から相続登記の申請義務化がスタートします。3年以内に申請しないと10万円以下の過料が科されることがあるので気をつけましょう。

 

上記以外にもやるべきことがたくさんあります。負荷軽減のためにも行政書士の活用をお勧めいたします